部下との距離を縮める一番シンプルな方法

主観や私情を捨てて、まっさらな状態で考える環境を作り出し、部下のことを考えてみてください。すると、苦手な部下ともいい人間関係を作る糸口が見えてきます。

そして、考えたら、思い切って行動に出ましょう。まずは、自分からアプローチすることです。どんな反応が返ってきたとしても「接触頻度」を増やすことで雪解けは起こり始めます。「単純接触効果」というものがあります。これは「ザイアンスの法則」ともよばれる心理学用語で、「人間関係の親密さは、接触回数、頻度が増えるほどお互いに対する好感度が高まる」という、極めてシンプルな法則です。

自分は悪くない、なんでこっちから働きかけなければならないんだ、といっては何の改善もしません。

そういう器の小さな自分を捨てることです。

何度も言いますが、「まず、リーダーの方から部下に働きかける」それがリーダーの重要な役目なのです。

部下が「話しかけやすい上司」になる

部下とのコミュニケーションを円滑にするうえで、「話しかけやすい環境を作る」ことはとても重要です。

部下は、上司に対しては「仕事の邪魔をしてはいけない」という意識を常に持っているので、中々話しかけられないのが現実です。したがって、「話しかけやすい自分を作る」ことがリーダーには必要です。

「険しい顔」「不機嫌な顔」をやめてください。

簡単なアドバイスですが、これはものすごく重要で、リーダーが険しい顔、不機嫌な顔をしていたらチームの雰囲気は確実に悪くなります。常に「部下の話を聞く用意がある」という雰囲気を作ることが、リーダーには必要です。無理してにこにこしている必要はありませんが、なるべく柔らかい表情を作っておくことが大切です。「そんなことか」といわれるかもしれませんが、そんな小さなことが重要なのです。

また、上司に話しかけた時に邪険に扱われた経験を部下が持ってしまうと、話しかけることに心理的ブレーキがかかるようになってしまいます。

リーダーは忙しいものです。部下が何かを言ってきても、その時すぐに対応できないこともあると思いますが、そういうときは、後で必ず、話を聞く時間を取る。それが大切です。

「○○の件だな。これから社長に報告があるから、そのあとに話を聞こう。もう一度声をかけてもらってもいいかな?」こんな、ちょっとした一言で、「話しかけやすい自分を作る」のです。

なぜ報連相がうまくいかないのか?

報連相がうまくいかない理由は、ずばり、「報連相の時間を作っていないから」です。

「いつでもいいから報連相をしてくれ」というのは、一見、効果的です。しかし、部下からしてみると、何か報連相をしたいとき、リーダーはとても忙しく動いているということが多いのです。また実際、上司も急に報連相をされても十分な対応はできません。すると、メンバーは「あの人は自分の話を聞いてくれない」と思ってしまいます。リーダーは多くのやるべきことを抱えています。個々のメンバーからの報連相を受けるのは、その中のごく一部でしかありません。しかし、部下にとっては上司への報連相こそが一番重要なことであることが多いのです。りーだーはそのことを知らねばなりません。リーダーは「いつでも話を聞くぞ」という姿勢を見せるのが重要だと先に述べました。なぜなら、部下の中には、性格的に気を使うタイプで、忙しそうな上司に中々声をかけられない人も多いからです。その姿勢に加え、「報連相だけの時間」を作るというのが有効な方法です。その時間をチームのメンバーに明確にしておくのです。

「上司を殺すのには刃物はいらない。報告の三日もたてばよい」なんて物騒な言葉がありますが、そうならないためにも、報連相の時間を設定してみてください。

リーダーのための「失敗学」

仕事には「失敗」がつきものです。失敗をしないリーダーなどいません。

大切なのは、その失敗を「教訓」にできるかどうかです。

失敗について、セブン&アイの鈴木氏は次のように述べています。

「新しいことに挑戦するのは、相当な努力が必要になります。リスクがあっても、常に昨日のやり方とは違うことに、挑戦し続けなければならないからです。結果として、失敗したとしても、本人および組織にとって、良い勉強になります。前向きな仕事として行ったことに対して、決して責めてはいけません。責任を負わせ、攻めていたら、前向きな挑戦は生まれません。一度失敗した人は、二度、三度と間違いをしなくなります。授業料という考え方ができます。仕事には積極的な姿勢が必要です。消極的な姿勢では、仕事にはならないのです。」

リーダーとして、「失敗」というものに対して、どういうマインドで向き合うべきか、ポイントは3つあります。

 

①くよくよしないこと

失敗の軽重にもよりますが、自分が犯した失敗をいつまでも引きずって、落ち込んだり、あるいは自暴自棄になったりするリーダーも少なくないのですが、そういうマインドは絶対に捨てるべきです。どんな一流のリーダーでも失敗をした経験を持っているものです。むしろ成功者は、失敗を糧にして日々成長しているのです。

 

②失敗を絶対に隠さないこと

失敗を「次に生かす」ためには、失敗を隠してはなりません。失敗をオープンにすることです。そのうえで、何が原因だったのかを明確にする。そうすることでしか、失敗は次に生かせません。

失敗の原因を究明していくときは、当事者以外の第三者を間に入れて、自分の「言い訳」を挟み込まないこと。言い訳は、物事をややこしくします。失敗を次に生かすためには、「言い訳」を捨てなければなりません。自分の責任は責任としてきちんと引き受けてこそ、次の糧になっていくのです。

 

③失敗から学んだことを周囲と共有すること

失敗の教訓を共有化することで、失敗を成功に帰る為の意見やアイデアが集まってくるのです。

「このやり方ではなく、こういうやり方をするべきだった」

「顧客がこういうことを考えているとは知らなかった」

「こういう情報集めてから次のステップに進めばよかった」

など。失敗から学んだことを、個人にだけ生かすのではなく、周囲と共有して、チーム力を高めるための知恵、ノウハウとして蓄積し、活用するのです。

信念のあるリーダーは強い

自分の「信念」をしっかりと持って、責任を持って善悪を判断し、行動していく。

これこそが、リーダーに求められていることです。リーダーというのは、会社や組織、チーム全体の成長・成功に寄与するために存在している、という原理原則があるそうです。そして、そのために自分がやるべきことは何か、自分は何のために仕事をしているのか、この自問自答を繰り返すことが、「信念」を作り上げていくときのベースとなるのです。

信念のあるリーダーは強いのです。

なぜか。

「目の前の利益を捨てる」ことができるからです。

「目の前の誘惑に勝つ」ことができるからです。

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして、国家の大業は成し得られるなり」

これは西郷隆盛が残した言葉です。

まさに至言で、名誉やカネにつられない人間は厄介だが、そういう人間でなくては国づくりのような大業は成しえない、という意味で、要するにお金や名誉に惑わされない人間が一番強い、ということです。

お金を稼ぐ、欲望を持つのは重要です。しかし、その欲望につられて、私利私欲に走る人間は、弱い人間なのです。周りの人間にとってみれば、『始末に困らない人間』つまり、卸しやすい人間だからです。コントロールしやすい、軽い人間だからです。

強いリーダー、一流のリーダーを目指すのであれば、信念を貫くこと。そうすれば結果としてお金は後からついてくるのです。

 

『歴史の偉人たち』を相談相手とする。

リーダーの地位に就くと、多くの悩みを抱えることになりますが、反対に悩みを相談できる人は少なくなってきます。だから、上に行けばいくほど、精神的なタフさが必要になってくるのです。

できるリーダーにとって、「孤独に耐える」という事は必須の条件だといえます。

馴れ合いを捨て、孤独に親しみを感じられる自分を作らなければなりません。では、孤独に向き合い、孤独を受け入れるためにはどうすればいいのでしょうか

多くのリーダーが、古い時代に著された古典を読んでいます。古典は、長く読み継がれているだけに、時代を超えて規範とすべき術が記されています。

SBIホールディングスのCEOである、北尾氏は『論語』をバイブルとしていますし、住友生命保険会長の佐藤氏は『菜根譚』を愛読書としているといわれています。

人生においてためになる言葉、ビジネスやプライベートで活用できる教えを読み、心をケアしているのではないでしょうか。孤独と向き合うためには、先人の知恵を借りるのも一つの手なのです。